豪ドル/円相場は、10月8日の79.40円をボトムに、足元では81円台後半まで上値を切り上げる展開になっている。中国経済に対する過度の懸念後退や、米経済指標の改善傾向などを手掛かりに、資源国通貨や高金利通貨に対する物色意欲が強まり、豪ドルも買われる展開に。日本銀行の追加緩和期待を背景に円売り圧力も強く、9月19日以来の豪ドル高・円安水準を更新している。ただ、ここにきてスペインの債務問題を蒸し返す動きや、米企業業績に対する警戒感などがリスクマーケット全体の上値を圧迫しており、豪ドル高の流れに一服感も浮上し始めている。
10月24日に発表された7~9月期の豪消費者物価指数(CPI)は、前期比+1.4%と市場予測(+1.0%)を上回った。前年同期比でも+2.0%となり、こちらも市場予測(+1.6%)を上回っている。オーストラリア準備銀行(豪中央銀行)のターゲット(前年比+2~3%)に達しており、従来よりも利下げのハードルを高める内容になっている。炭素税導入の影響が初めて反映されたものであり、企業の価格転嫁が予想以上に順調に進展していることを示唆する内容になっている。もっとも、10月2日の理事会議事録では、追加利下げの余地を指摘するメンバーの存在が明らかになっており、スティーブンス総裁も他先進国との比較で政策対応の余地が多く残されていることを誇示しており、追加利下げ観測を払拭するのは難しい。豪ドルの上昇余地は限定されよう。
ただ、10月30日までは日銀の追加金融緩和観測が円の上値を圧迫する展開が続く可能性が高く、豪ドル/円は底固い展開が続く可能性が高い。焦点は資産購入額の増額規模や、その手法に移行しており、日銀が米連邦準備制度(FRB)などの後追いながらも追加緩和の動きを強めていることが、素直に円安圧力として評価されている。
今後1週間の予想レンジは、81.00~83.25円。